INFOLATION

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特別な人間になんてなれないと、とうとう認めなければならない

 

 レジェンド一位になって、ツイッターで報告して、デッキレシピ教えてください!なんてリプライがきて、ドヤ顔で「参考になるかは分かりませんが、頑張ってください~」なんて涼しいリプライを送り返したい。

 配信して面白いトークと素晴らしいプレイングで視聴者1000人ぐらい獲得して、チャット欄も追えないぐらい賑やかで、たまには欲しいものリストからプレゼントを届けられたい。

 

 

 先週末、久しぶりに競馬に出かけた。12時にお昼ごはんを食べて、競馬場に向かう。友達と「メインレースまではまだ、早すぎるね」と笑い合った。日曜日の12時半、まだ競馬場は混雑していなかった。いつも通り、僕たちは適当にスマホで調べて、大して名前も覚えていない馬の馬券を500円だけ購入する。

 名前すら覚えていない。500万以下のレースにでてくるような馬の名前なんて覚えていない。

 競馬は、だいたい4時頃にメインレースがある。CMも流れるような大きなレース。それまでは、デビュー戦や獲得賞金が500万にも満たない馬のレースが行われる。

 5歳でいまだに500万以下のレースに出場している競走馬がいる。そのたび僕は心から思っていた。

 『5歳にもなって、こんなレースに出るなんて馬主も何の期待もしていないだろうな。だっせぇなぁ。』

 

 

 就職してもう半年が経つ。新入社員の中でも『仕事がデキるやつ』と『仕事がデキないやつ』の差がでてくる。成績にだって違いが出てくる。

 僕の支店に新たに同期が転勤してきた。そいつは『仕事がデキないやつ』だった。

 ある日、管理職に言われた。

 「あいつは辞めさせてもいいから」

 

 

 仕事に疲れて帰宅したらもう21時だった。お風呂に入ってご飯食べて、22時。明日も6時に起きないといけない。それでも、パソコンの電源をつけた。Twitchを開く。ミルローグ好きだから、開いた。

 気づいたらパソコンの机に伏せて寝落ちしていた。ミルローグの配信も終わっていた。それから布団に飛び込んだ

 「こんな生活じゃ配信なんてできないなぁ」って笑った。

 月末の業務に追われて気づいたらランク20で終わっている。レジェンド1位なんてまだまだそのまだまだ先だった。

 

 

 5歳馬は良いスタートを切って必死に走って走って先頭に立っても、最後には将来有望な3歳馬の追い込みにねじ伏せられて9着に沈んだ。

 「やっぱりなぁ。力が違うんだよ」

 そう言いながら僕と友達は当たり馬券を換金した。500円が1500円になった。

 

 

 転勤してきた同期は詰められていた。

 上司がよく笑い合っている。

 「暇だしあいつ、怒鳴ってくるわ」「ははは。いったりましょう」

 「なぁ見ろよ。本当にあいつ怒られてる。笑えるなぁ」

 僕は上手く笑えていたか分からない。 

 

 

 僕と同じように今年から社会人になったハースストーンプレイヤーであるuyaさんがアジア太平洋夏季プレイオフでベスト4になっていた。次はアメリカの選手権にいくらしい。

 フォロワーもすごい勢いで増えてて「uyaさん」って言葉がツイッターのトレンドにも入ってて、ツイッチのチャット欄も賑やかで、「おめでとうございます!」って言葉もリプライ欄に溢れてて

 それで、俺は送れなかった。「おめでとうございます!」って送れなかった。

 分かってる。俺なんかよりももっともっと情熱があって努力もしていてそんなこと分かってる。でも俺は送れなかった。

 

 

 

 5歳馬が最後、どういう姿でゴールを通過したかなんて知らない。俺たちは自分が購入した馬券が当たったことだけ確信すると、レースには興味をなくして背を向けたから。ただ、後日の報道で、このレースを勝った3歳馬が次はメインレースの前哨戦に挑むということだけ知った。「期待で胸がいっぱい。前哨戦は通過点、メインレースが本番。この馬ならやってくれると信じている。」という馬主のコメントが書いてあった。

 

 

 休憩時間、管理職と二人っきりになったときに言われた。

 「お前、今月の成績良くないよな。来月は頼むから」

 

 

 

 子供の頃は、きっと特別な何かになれると思っていた。一般人Aなんかにならないと思っていた。だけどもう気付いた。僕はなれない。何かを成し遂げるのに必要な才能も情熱も根気も持ち合わせていない。

 だから、俺は

 だから俺はツイッチのビデオでuyaさんが勝つ瞬間を眺めて

 だから俺はyoutubeで5歳馬の過去のレース全部見返して、

 だから俺は自分の良くない成績を苦しみながら見つめて

 だから俺はなんとかして、これまでに積み上げてきた『俺は特別だ』という根拠のない自信を必死に崩しているんだ。